たった1年で退役、GPT-4からGPT-4oへ 〜 AIの超速世代交代に乗り遅れるな

「GPT-4が退場？えっ、まだ1年ちょっとしか経ってないよね？」

AIモデルの寿命はわずか「1年」。その超短命ぶりに驚きを隠せない人も多いのではないでしょうか。私たちがやっと使い方を覚えた頃には、すでに「旧モデル」のレッテルが貼られているのです。AI（人工知能）の世界では、驚異的なスピードで進化と世代交代が繰り返されています。

今回は、多くの人が利用しているChatGPTの最新事情についてお伝えします。「GPT-4」が退場し、新たに「GPT-4o」が登場するというニュースから、AIの世代交代の意味、そして私たちの生活にどう影響するのかを考えていきましょう。

「GPT-4」さようなら、短い栄光の1年余り

「GPT-4」といえば、2023年3月にOpenAIからリリースされ、世界中を驚かせたAIモデルです。画像認識能力の向上、複雑な指示への対応、より自然な会話など、前モデルからの飛躍的な進化を見せました。

そんなGPT-4ですが、発表からわずか1年余りで引退することになりました。OpenAIは4月10日に、ChatGPTでのGPT-4の提供を4月30日に終了し、新モデル「GPT-4o」に完全に置き換えると発表しました。

AIの世界では「1年」がこれほど長い時間なのかと驚きますね。私たちが使っているスマホやパソコンは、通常3〜5年は使い続けるものです。でも、AIの世界ではたった1年で「世代交代」が起きてしまうのです。

ただし、API（プログラムからアクセスするための仕組み）経由では引き続きGPT-4を利用できるとのこと。つまり、ChatGPTとして直接会話する形では使えなくなりますが、他のアプリやサービスの裏側では、まだしばらくGPT-4が活躍することになりそうです。

「GPT-4o」って何が違うの？「o」の秘密

さて、新しく登場する「GPT-4o」。この「o」は「omni（オムニ）」を表しているそうです。「オムニ」とは「全ての」という意味。つまり、あらゆるタイプの情報を扱えるという意味が込められています。

具体的には、以下のような特徴があります：

1. マルチモーダル機能の統合：テキストだけでなく、画像や音声など、さまざまな種類の情報（モード）を同時に処理できる能力が向上しています。写真を見せながら質問したり、音声で会話したりと、より自然なコミュニケーションが可能になります。
2. 高速化：「GPT-4 turbo」と呼ばれる高速版よりもさらに処理速度が上がっています。質問に対する回答がサクサク返ってくるので、ストレスなく会話が続けられます。
3. より自然な応答：人間らしい会話の流れや表現がさらに向上。AIっぽさが減り、まるで人と話しているような自然さを感じられるようになっています。
4. 精度の向上：指示に従う能力、問題解決力、知識ベースなど、ほぼすべての評価指標でGPT-4を上回っているとのこと。より正確で役立つ情報を提供してくれるでしょう。

OpenAIのリリースノートによれば、「最近のアップグレードにより、GPT-4oの指示の順守、問題解決、会話の流れがさらに改善され、GPT-4の自然な後継となった」としています。

例えるなら、GPT-4が優秀な大学生だとしたら、GPT-4oは社会人経験を積んだ頼れる先輩といった感じでしょうか。基本的な賢さだけでなく、対応の柔軟さや理解力が一段と成長したイメージです。

AI開発競争の激化、その裏側にあるもの

では、なぜOpenAIはこれほど急いでモデルを入れ替えるのでしょうか？その背景には、激化するAI開発競争があります。

現在、AIの世界では、OpenAIのほかにも、GoogleのGemini、AnthropicのClaude、MetaのLlamaなど、多くの企業が最先端モデルの開発にしのぎを削っています。技術革新のスピードは加速する一方で、半年前のトップモデルが今では「古い」と言われるほどです。

この競争の中で生き残るためには、常に最新・最高のモデルを提供し続ける必要があります。OpenAIがサム・アルトマンCEOを通じて、「GPT-o3」「GPT-o4-mini」を数週間以内に、さらには「GPT-5」を数カ月以内にリリースすると発表したのも、この競争を勝ち抜くための戦略といえるでしょう。

こうした急速な進化は、私たち利用者にとっては嬉しい半面、少し息切れを感じることもあります。「やっと使い方を覚えたのに、また新しいのが出るの？」というフラストレーションは、多くの人が共感するところではないでしょうか。

私たちの生活や仕事はどう変わる？

AIの急速な進化は、私たちの日常生活や仕事にどのような影響をもたらすのでしょうか。

まず、日常生活では、より自然で使いやすいAIアシスタントが増えることで、情報検索や創作活動、学習支援などがさらに便利になります。例えば、旅行計画を立てる際に、写真を見せながら「ここはどこ？近くのおすすめスポットは？」と質問できたり、宿題の問題を写真で撮って解き方を教えてもらえたりする機能が、より精度高く使えるようになるでしょう。

仕事の面では、特にAIツールを活用している職種にとって大きな影響があります。例えば：

1. クリエイティブ業界：より高度な創作支援や、アイデア出しのサポートが期待できます。文章だけでなく、画像や音声と組み合わせた提案がより自然にできるようになります。
2. カスタマーサポート：より自然な会話ができるAIチャットボットの登場で、単純な問い合わせ対応の自動化がさらに進むでしょう。
3. 教育分野：学習内容の理解度チェックや、個別指導の補助としてのAI活用がより高度になります。

一方で、AIツールの開発者やAPI利用者にとっては、定期的な更新対応が必須となる時代が来ています。技術の進化に遅れないよう、継続的な学習と適応が求められるでしょう。

技術進化と共に歩む私たちの姿勢

技術の進化は止まることなく続きます。しかし、大切なのは新しいものに振り回されるのではなく、自分たちのペースで上手に活用していくことではないでしょうか。

GPT-4からGPT-4oへの移行は、普段使いのChatGPTユーザーにとっては、画面の向こう側で起きる「裏方の交代劇」に過ぎません。ほとんどの人は、「あれ、なんか反応が速くなった？」「写真も見せられるようになったんだ！」という程度の変化として感じるかもしれません。

しかし、このような小さな変化の積み重ねが、長い目で見ると私たちの生活や社会を大きく変えていくのです。スマートフォンが登場した頃、多くの人は「便利なケータイ」程度にしか思っていませんでした。しかし今や、私たちの生活のあらゆる場面に溶け込み、なくてはならない存在になっています。

AIも同じように、少しずつ、でも確実に私たちの生活に溶け込んでいくでしょう。その過程で、私たちに求められるのは、盲目的な技術信仰でも拒絶でもなく、「賢い利用者」としての姿勢ではないでしょうか。

新しいGPT-4oが登場し、さらにはGPT-5も控えているというこの時代。AIは日々進化していきますが、それを使いこなすのはあくまで私たち人間です。技術の波に乗り遅れないよう好奇心を持ちつつも、振り回されない冷静さを持って、この新時代を楽しんでいきたいものですね。

それでは、さようならGPT-4、こんにちはGPT-4o。あなたの進化に期待しています。そして私たち自身も、AIと共に成長していければと思います。