2030年に向けたスタートアップの未来予測|AI・ブロックチェーン、そして長寿経済の可能性

2030年に向けたスタートアップの未来予測|AI・ブロックチェーン、そして長寿経済の可能性
2025年1月29日

ニュースレター

最新情報をいち早くお届け

近年、スタートアップ界隈が世界的に盛り上がりを見せています。AI(人工知能)やブロックチェーンといった次世代技術は、まだ未熟なイメージがあったのも昔の話。今やマーケティングから医療、さらには私たちの生活習慣までもガラッと変えるほどのポテンシャルを秘めています。そんなダイナミックな変化を目の当たりにすると、「近い将来、何かものすごいイノベーションが起きるんじゃないか?」と、わくわく感が止まらない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、2030年に向けてスタートアップが注目すべきトレンドや成功事例をピックアップしながら、AIやブロックチェーン、さらには「長寿経済」の可能性についてゆる〜く語ってみたいと思います。なぜ長寿経済なのかって? 実はこれ、大きなビジネスチャンスでもあるんです。ちょっと未来の話っぽいですが、どうぞお付き合いください。

スタートアップを加速させるAIとブロックチェーン

まず見逃せないのがAIとブロックチェーンの存在感です。AIは「SiriやAlexaのような便利ツール」くらいのイメージから、今やスタートアップの成長を支える超重要テクノロジーへと進化中。マーケティングの世界では、SNSの投稿データからユーザーの好みを分析して最適な広告を自動的に配信するだけでなく、「この人、次はこんな商品に興味を持つかも?」といった未来予測をやってのけます。

医療分野でもAIが一役買っており、患者のデータを解析して疾患リスクを予測したり、治療プランの効率化をサポートしたりと、ヘルスケア全体がかなりスマートになりつつあります。こうしたAI技術をうまく活用するスタートアップは、スピーディーにサービスを拡充しながら、顧客との接点をどんどん広げることができるわけです。

一方、ブロックチェーンは「仮想通貨だけじゃなくて、実はもっと使い道がある」技術として注目度が急上昇。大きな特徴は「改ざんされにくいデータ管理」が可能になる点です。金融取引の透明性確保や、サプライチェーン(製造から流通までの一連の流れ)の追跡管理、NFT(デジタル資産の唯一性を保証する技術)など、多岐にわたる活用が期待されています。スタートアップとしては、独自のブロックチェーンプラットフォームを構築して、新しい流通や契約の仕組みを提供することで、一気に市場を席巻するチャンスがあるかもしれません。

これらの技術革新は「持続可能性」や「リアルタイムのハイパーパーソナライゼーション」といった新しい顧客ニーズにも合致しています。たとえばサブスクで動画を視聴するときに、ユーザー個人の好みにドンピシャでおすすめ作品が表示されたら便利ですよね。AIとブロックチェーンはそういった“個人に寄り添うサービス”の進化を後押ししてくれそうです。

成長が見込まれる「長寿経済」

少し話が変わりますが、スタートアップの注目領域として見逃せないのが長寿経済です。国連の推計によれば、2030年までに世界では6人に1人が60歳以上になると言われています。かつては「高齢者向けビジネス=医療・介護ビジネス」のイメージが強かったかもしれませんが、いまやその枠を超えて、幅広い製品やサービスが生まれる可能性を秘めています。

たとえば、健康寿命を延ばすための予防医療アプリや、高齢者向けのリモートワークマッチングサービス、認知症予防のための脳トレ系ゲームアプリなど。どれも「60歳以上の方々がより豊かに暮らせる」視点で考えられたアイデアです。最近ではデジタルデバイド(IT技術を使いこなせるかどうかの格差)が話題になりますが、高齢者向けに操作がシンプルな端末を提供するスタートアップも出てきています。

また、“シルバー世代”は購買力が高い層でもあります。「ゆとりのある趣味やレジャーを楽しみたい!」というニーズに応えるため、旅行プランや趣味サークルをオンラインでサポートするスタートアップも増えています。いまは若い世代が中心のイメージが強いスタートアップ業界ですが、長寿経済は確実にキーワードになりそうです。

気候テクノロジーとサステナビリティへの追い風

さらにグローバルなトレンドとしては、気候テクノロジー(クライメートテック)の台頭も見逃せません。カーボンニュートラルや再生可能エネルギーの開発など、地球環境を守るためのテクノロジーに注目が集まっています。スタートアップは大企業と違って意思決定がスピーディーなので、新たな技術を取り入れやすい強みを持っていますよね。

これからの時代、“環境に配慮しているかどうか”は消費者にとって大きな判断材料になります。たとえどんなに画期的なサービスを提供していても、環境への配慮を怠っていると世間の目は厳しくなってしまうかもしれません。

そこで、太陽光発電や蓄電池の効率化技術を手がけるスタートアップや、サプライチェーンのCO2排出量を管理するプラットフォームを提供する企業などが続々と登場。環境問題を解決しながら収益も生み出す「ソーシャルグッド」なビジネスモデルに注目が集まっています。AIと組み合わせることで、リアルタイムに排出量を監視・予測し、効率的に削減策を講じるといった高精度な取り組みも可能になります。

まとめ

スタートアップの未来を語るうえで、AIやブロックチェーンによる効率化・自動化の加速、長寿経済によって広がる新たな市場、そして気候変動へのアクションといった要素はどれも見逃せません。2030年には社会の構造も大きく変化すると予想されており、私たちの生活やビジネスの常識も「そんなこともあったっけ?」と笑ってしまうくらい劇的に変わっているかもしれません。

一方で、どんな革新的なサービスやテクノロジーも、人々の日常にうまく溶け込まなければ意味がありません。シニア世代が増加していく時代においては、「誰もが使いやすいデザイン」や「わかりやすい説明」がカギになるでしょう。サステナビリティの視点では、環境に対する責任を果たしながら、それをビジネスチャンスに変えていく柔軟さも求められます。

最後に、「時代がどんなに変わっても、人間らしさは忘れずにいたい」というのが筆者の勝手な願いです。AIやブロックチェーンに助けられつつも、人同士のつながりや思いやりを大切にすることこそ、スタートアップの“本当の強さ”につながっていくんじゃないでしょうか。未来を見据えつつ、今この瞬間の「面白さ」や「ワクワク」を楽しみながら、新しいイノベーションを生み出していきたいものですね。

芝先 恵介

芝先 恵介

メンター|生成AIスペシャリスト

外資系業務ソフト会社を経て2002年に起業、代表に就任。2013年に会社を売却し、翌年からスタートアップや大企業の新規事業立ち上げ支援に尽力。大学や公的機関での非常勤講師、DXアドバイザー、中小企業アドバイザーとしても活躍中。現在は、(株)01STARTを設立し、新規事業開発や営業DXのコンサルティング、生成AIに関するセミナーに数多く登壇。

カテゴリー