注目のAIアプリTop100から見える未来

注目のAIアプリTop100から見える未来

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あなたのスマホには、AIアプリは入っていますか?「いいえ」と答えた方、実は知らないうちに使っているかもしれませんよ。写真を編集するとき、文章を書くとき、あるいは音楽を聴くとき…。今やAIは私たちの生活のあらゆる場面に溶け込みつつあります。

2022年末、ChatGPTの登場によって一気に広まった「生成AI」。あれから約2年、今やスマホからパソコンまで、さまざまなデバイスで利用できるAIアプリが急増しています。でも、その中で本当に人気があるのはどんなアプリなのでしょうか?また、ただ使われているだけでなく、しっかり収益を上げているアプリはあるのでしょうか?

先日発表された「2025年版 人気のあるGen AI消費者向けアプリTop 100」のレポートから、AIアプリの最新トレンドとこれからの可能性について探ってみましょう。

王者ChatGPTの進化と新たなライバルの台頭

「ChatGPTって知ってる?」と友人に聞かれたのはついこの前のような気がしますが、実はもう登場から2年以上が経ちました。このアプリ、登場からわずか2ヶ月で1億人のユーザーを獲得したんです。これは史上最速のペースだそう。Instagramが1億ユーザーに到達するのに2年半かかったことを考えると、その異常な速さがわかりますね。

一時期、「ChatGPTブームも終わりか?」と言われた時期もありましたが、最近では再び急成長しています。その原因は機能の進化。テキストだけでなく、画像を見せたり、リアルタイムで会話したりできるようになったことで、より多くの場面で活用できるようになりました。「写真を見せて何か質問したい」というニーズに応える機能は特に人気のようです。

そんなChatGPTに対して、意外な挑戦者が現れました。「DeepSeek(ディープシーク)」という名前は聞いたことがありますか?まだ日本ではあまり知られていませんが、公開からたった10日間で世界中のAI製品の中で2位になった驚異のアプリです。特に中国では、ChatGPTが利用制限されていることから、代替サービスとして急速に普及しました。

興味深いのは、DeepSeekの開発コスト。他の大手AIと比べて非常に少ないコストで開発されたにもかかわらず、性能は引けを取らないと言われています。AIの世界では「お金をかければいいものができる」という常識が崩れつつあるのかもしれません。

AIによる動画作成が実用レベルへ

「AIで動画を作る」と聞いて、あなたはどんなイメージを持ちますか?数か月前までは「面白いけど、まだまだ実用的ではない」というのが一般的な評価でした。しかし、この半年で状況は一変しています。

レポートによると、AI動画作成アプリが一気にランキング入りしているそうです。例えば、「Sora(ソラ)」は多機能な動画生成、「Hailuo(ハイルオ)」は指示通りの動画生成、「Kling(クリング)」はカメラワークの制御やリップシンク(口の動きと音声の同期)といった機能を持っています。

特に注目したいのは、完全に動画を生成するだけでなく、「動画編集の作業をAIが手助けする」タイプのアプリも人気が高まっていること。例えば、動画の不要な部分を自動でカットしたり、字幕を自動で入れたりする機能は、YouTuberやSNS投稿者にとって大きな時間節約になりますよね。

私も試しに使ってみましたが、「こんなに簡単にできるの?」と驚くほど。数年前なら専門知識が必要だった編集作業が、スマホ一つでできてしまうのです。

誰でもクリエイターになれる時代

「プログラミングができないとアプリは作れない」。これも崩れつつある常識の一つです。レポートでは、AIを活用した開発ツールが急成長していると報告されています。

特に注目されているのが、プログラマー向けの「AIアシスタント(Agentic IDEs)」と、専門知識がない人でもテキストを入力するだけでウェブサイトやアプリを作れる「vibecoding(バイブコーディング)」と呼ばれるツールです。

これらのツールを使えば、「こんなウェブサイトが欲しい」「こんなアプリがあったらいいのに」というアイデアを、専門家に頼らずに自分で形にすることができます。AIが適切なコードを提案してくれるので、プログラミング言語を知らなくても、自分のイメージを伝えるだけでOK。

ある高校生は、このようなツールを使って自分の趣味のサイトを作り、友達の間で評判になったそうです。「プログラミングは難しそう」と尻込みしていた彼女も、AIの助けを借りれば簡単にクリエイターになれたのです。

人気と収益性は必ずしも一致しない

さて、たくさんの人に使われているアプリが必ずしも儲かっているわけではありません。レポートのランキングでは、「利用者数が多いアプリ」と「ユーザー一人あたりから多くの収益を上げているアプリ」は意外にも異なっていました。

例えば、写真・動画編集アプリはどちらのランキングにも多く入っていますが、具体的なアプリの名前は違います。無料で基本機能を提供するアプリはユーザー数で上位に、少数でも熱心なファンがお金を払って使うアプリは収益ランキングで上位になる傾向があるようです。

特に、植物の識別、栄養管理、言語学習、音楽作成、音声入力といった特定の目的やスキルに特化したアプリは、ユーザー数は少なくても、「これは便利!」と思ったユーザーがお金を払ってでも使い続ける傾向があるそうです。

これは何を意味するのでしょうか?AIアプリの未来は「万人向けの汎用ツール」よりも「特定の分野に特化した専門ツール」にあるのかもしれません。自分の困りごとを解決してくれるアプリなら、少しくらいお金を払っても惜しくないですよね。

注意したいのは「似て非なるアプリ」の存在

一方で、気をつけたい点もあります。レポートによると、ChatGPTの名前やロゴを真似て、あたかも同じような高性能なAIを安く提供しているかのように見せかけるアプリも少なからず存在するそうです。

「ChatGPT Pro」「ChatGPT Plus」などの名前で配信されているアプリの中には、本家とは関係のないものもあります。ユーザーの知名度への信頼を利用して、うまく収益を上げている例も見られるとか。

アプリをダウンロードする際は、開発者名や公式サイトへのリンクなどをしっかり確認することをおすすめします。見た目だけで判断せず、レビューやダウンロード数もチェックするといいでしょう。

これからのAIアプリはどうなる?

このレポートを読んで感じるのは、AIアプリが私たちの生活に急速に浸透していくスピードの速さです。2年前には想像もできなかったことが、今では当たり前になりつつあります。

「AIが人間の仕事を奪う」というネガティブな予測もありますが、見方を変えれば「AIによって誰もがクリエイターになれる」可能性も広がっています。動画制作、ウェブデザイン、アプリ開発…。以前は専門家だけのものだった分野が、AIの助けを借りて一般の人にも開かれつつあるのです。

もちろん、AIにはまだまだ限界もあります。間違った情報を自信満々に答えてしまうこともありますし、著作権の問題も完全には解決していません。しかし、日々進化するAIの可能性に目を向ければ、私たちの生活はもっと便利で創造的なものになるかもしれませんね。

結局のところ、AIは道具です。使う人によって、その価値は大きく変わります。あなたはAIをどう活用していきますか?手始めに、このレポートで紹介されているアプリの中から、自分の生活や仕事に役立ちそうなものを一つ試してみるのもいいかもしれませんね。

参照:https://a16z.com/100-gen-ai-apps-4/

芝先 恵介

芝先 恵介

メンター|生成AIスペシャリスト

外資系業務ソフト会社を経て2002年に起業、代表に就任。2013年に会社を売却し、翌年からスタートアップや大企業の新規事業立ち上げ支援に尽力。大学や公的機関での非常勤講師、DXアドバイザー、中小企業アドバイザーとしても活躍中。現在は、(株)01STARTを設立し、新規事業開発や営業DXのコンサルティング、生成AIに関するセミナーに数多く登壇。

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