Apple、AI後進国脱出へ！買収ターゲットに浮上した2つの会社

みなさん、iPhoneのSiriに「今日の天気は？」って聞いても、なんだかトンチンカンな答えが返ってきた経験はありませんか？「今日は良い天気ですね」って言われても、外は雨だったり…。そんなAppleが、ついにAI分野で本腰を入れ始めたようです。

8月26日、興味深いニュースが飛び込んできました。AppleがフランスのAI企業「Mistral」とアメリカの「Perplexity」という2つの会社の買収について、社内で真剣に検討しているというのです。まるで「今度の週末、どこに買い物に行こうか」と家族で相談するように、Apple内部では「どのAI会社を買おうか」という会議が開かれているのかもしれません。

なぜAppleは「AI後進国」になってしまったの？

実は、AppleはAI分野でちょっと出遅れてしまっているんです。GoogleやSamsungといったライバル企業が、すでにスマートフォンにバリバリのAI機能を搭載している中、Appleは「あれ、うちのSiriってこんなもんだったっけ？」という状況に陥っています。

考えてみてください。GoogleのPixelスマホは写真を撮るだけで、その場にない人を自然に合成してくれたり、リアルタイムで外国語を翻訳してくれます。一方、iPhoneのSiriは…まあ、頑張ってはいるんですが、なんというか「昭和のお父さんが一生懸命デジタル機器を使おうとしている」感が否めません。

これは決してAppleが技術力に劣っているわけではありません。むしろ、Appleは常に「完璧でなければ世に出さない」という哲学を持っているため、AI機能の導入に慎重になりすぎたのかもしれません。でも、その間にライバルたちはどんどん先に進んでしまったわけです。

買収候補の2社、どんな会社なの？

Mistral：フランス発のAIホープ

まず注目したいのが、フランスのMistral（ミストラル）です。この会社、実はかなりのすごい会社なんです。昨年の資金調達では、なんと60億ドル（約8,700億円）以上の評価を受けています。これって、地方の中小企業の年間売上の何百倍にもなる金額です。

Mistralの何がすごいかというと、ChatGPTのようなAIを作っているのですが、特にヨーロッパのプライバシー規制に配慮した設計になっている点です。EU（欧州連合）は個人情報の扱いにとても厳しいので、Mistralのようなヨーロッパ生まれのAIは、そのあたりのノウハウが豊富なんです。

Appleといえば、「プライバシーを守る」ことを企業理念の一つにしています。「あなたのiPhoneで何をしているかは、あなただけの秘密です」的なCMを見たことがある人も多いでしょう。そんなAppleにとって、プライバシーに配慮したAI技術を持つMistralは、まさに理想的なパートナーかもしれません。

Perplexity：検索の新星

もう一つの候補、Perplexityは「AI検索エンジン」の分野で注目を集めている会社です。普通の検索エンジンは、キーワードを入れると関連するウェブページをずらっと表示しますよね。でもPerplexityは違います。質問を投げかけると、まるで賢い助手が調べてくれたように、答えを整理して教えてくれるんです。

例えば「今度の休みに家族で行ける関西の観光地を教えて」と聞くと、単にウェブサイトのリンクを並べるのではなく、「お子さんの年齢にもよりますが、USJなら家族全員が楽しめますし、奈良公園なら鹿と触れ合えて教育的価値もあります」といった具合に、まとめて回答してくれるイメージです。

しかも、Perplexityの背景には、あのNVIDIA（エヌビディア）やAmazonの創業者ジェフ・ベゾス氏といった、IT界のビッグネームが投資家として名を連ねています。これだけの大物たちが注目しているということは、それだけ将来性が期待されているということでしょう。

Appleの「本気度」はどのくらい？

今回のニュースで特に興味深いのは、AppleのCEOであるティム・クック氏が先月、「AI分野での追い上げのために、より大規模なAI関連企業の買収に前向き」と発言していることです。これまでのAppleは、比較的小規模なスタートアップを買収することが多かったのですが、今回は明らかに規模が違います。

Mistralの現在の企業価値は60億ドル以上、さらに100億ドル（約1兆4,500億円）での資金調達を検討しているという報道もあります。これって、日本の大企業でも簡単には出せない金額です。でも、Appleの手元資金を考えれば、決して不可能な数字ではありません。

これまでのAppleは「じっくり時間をかけて、自社で完璧な技術を開発する」というスタイルでした。でも今回は「時間をお金で買う」戦略に転換しようとしているのかもしれません。まるで「宿題が終わらないから、優秀な友達にお小遣いをあげて手伝ってもらう」みたいな感じでしょうか。

これでiPhoneはどう変わる？

もしAppleがこれらの会社のどちらか、もしくは両方を買収したら、私たちのiPhoneライフはどう変わるでしょうか？

まず、Siriがもっと賢くなることは確実です。「今日のランチ、何にしようかな？」と聞いたら、あなたの過去の注文履歴、健康データ、今日の気分、さらには冷蔵庫の中身（将来的にはIoT連携で）まで考慮して、「今日は和食気分ですか？近くの〇〇というお店の定食がおすすめです。野菜も豊富で、最近の運動量を考えるとちょうど良いカロリーです」なんて提案してくれるかもしれません。

写真アプリも革命的に変わりそうです。「去年の花見の写真」と言うだけで、桜の写真を自動で探し出してくれたり、「家族写真をアルバムにまとめて」と頼めば、自動的に美しいフォトブックを作ってくれたり。

さらに、プライバシーを重視したAI機能なら、あなたの個人情報がクラウドに送られることなく、iPhone内部だけで高度なAI処理ができるようになるかもしれません。これって、実はとても重要なことです。今のAIサービスの多くは、あなたのデータをサーバーに送って処理していますが、Appleならデバイス内で完結する技術を目指すでしょう。

でも、ちょっと待って…課題もある

もちろん、すべてがバラ色というわけではありません。大きな買収には、それなりのリスクも伴います。

まず、「文化の違い」問題があります。AppleはアメリカのIT企業でありながら、かなり日本的な「完璧主義」「職人気質」の文化を持っています。一方、AI業界はスピード重視で「とりあえずやってみる」という文化が強い分野です。この2つの文化をうまく融合させるのは、思っているより難しいかもしれません。

また、規制の問題もあります。特にヨーロッパやアメリカでは、大手IT企業による買収に対して厳しい目が向けられています。「大きな会社がさらに大きくなって、競争を阻害するのではないか」という懸念があるからです。

そして何より、買収したからといって、すぐに結果が出るわけではありません。技術の統合、人材の融合、新サービスの開発…全てが順調に進んだとしても、私たちが実際に新しいAI機能を使えるようになるまでには、少なくとも1-2年はかかるでしょう。

まとめ：Appleの「第二章」が始まる？

今回の買収検討は、Appleにとって新しい時代の始まりを告げるものかもしれません。これまでのAppleは「美しいハードウェア」と「洗練されたソフトウェア」の会社でした。でも、これからは「AI時代のApple」として生まれ変わろうとしているのです。

正直なところ、SiriがGoogle AssistantやAmazon Alexaと比べて劣っているのは事実です。でも、それを認めて、積極的に外部の技術を取り入れようとするAppleの姿勢は、むしろ好感が持てます。「プライドを捨てて、ユーザーのために最善を尽くす」という判断なのでしょう。

私たちユーザーにとっては、これまで以上に便利で、しかもプライバシーが守られたAI体験が待っているかもしれません。Siriがついに「使える子」になる日が来るのか、今後の展開に注目したいと思います。

ただし、これらの買収話は現時点では「検討段階」です。実際に買収が成立するかどうかは、まだわかりません。でも、Appleが本気でAI分野に取り組もうとしていることは確かです。次のiPhoneでは、もしかしたら「おお、これがAppleのAIか！」と驚くような体験ができるかもしれませんね。

参考：Reuters 2025年8月27日報道「アップル、ＡＩミストラル・パープレキシティ買収巡り社内協議＝報道」